■(代表質問) 平成30年9月20日
        県民クラブ 西  聖 一■



1 くまもと版クールジャパン戦略

 
【質問】 ことしの4月に尾田栄一郎さんへ県民栄誉賞が贈呈され、また、ルフィ像が県庁プロムナードに設置されることになり、私の8年前からの提案を実現した知事に敬意を表す。銅像設置については、各自治体で引き合いがあり、県としてもさまざまな調整が必要になることから、くまモングループ内に窓口を設けてはどうか。また、漫画、アニメをめぐる動きは活発化し、美術館でも作品が取り上げられるようになった。また、県にゆかりのある人が多いことは熊本の大きなポテンシャルである。政府も、成長戦略の一つとして挙げており、漫画、アニメを中心としたくまもと版クールジャパンに着手してはどうか。国際スポーツ大会を契機とした外国人旅行客誘致も進んでいるが、アニメの聖地巡礼を加えることは非常に有効。「ONE PIECE」に関しては、九州全体の取り組みが効果的であり、全体の調整を本県でやることは夢のある施策であり、知事にもっと大きな夢を描いていただきたい。くまもと版クールジャパン戦略とも言うべき、漫画、アニメを活用した熊本の活性化について、知事の考えを尋ねる。

  【答弁(知事)】
 漫画やアニメは、作品のモデルになった場所や地域資源と掛け合わせることで、交流人口の増加や地域活性化に効果を発揮する。これまでも、外国人旅行者の増加に積極的に取り組むだけでなく、市町村による漫画という熊本の強みを生かした地域づくりを支援してきた。熊本国際漫画祭を視察したが、漫画のもつ魅力は、多くの共感を得ながら、世界の文化をリードする大きな波になりつつあると感じた。一方、熊本には大いなるチャレンジを始めたくまモンがいる。その活躍の軌跡は、マンガ偉人伝として書籍化され、今後はユーチューブでの動画配信やアニメ化にも挑戦するなど、その活躍空間は、ますます拡大していく。世界から愛されるくまモンと、数多くの漫画家を、この熊本から輩出したことはビッグチャンスであり、これを逃すことなく、くまモンやワンピースをはじめ、熊本ならではの強みを新たな成長につなげていけるよう、取り組んでまいる。

2.外国人就労

 【質問】政府は、外国人労働者受け入れにかじを切り、2019年4月に5年の新たな在留資格を設け、3年間の技能実習を修了した外国人も新たな資格を得て在留期間延長が可能となり、その職種も広がる。日本でともに働き、生活する外国人がふえることで、さまざまな課題が出てくる。低賃金労働者の確保を目的としていたら、優秀な外国人の受け入れは困難。現実は、労働基準監督署が調査した事業所の7割で法令違反が見つかり、トラブルも多い。低賃金の労働者を希望する雇用者側の意識の改革が必要。一方の労働者側の意識も変わり、アジアの経済発展とともに、日本まで出稼ぎに行く魅力がなくなってくる。また、生活面では多言語対応など受け入れ自治体の体制が追いついていない。相互理解を深め、外国人と共生できる社会の実現が必要。政府も、外国人の受け入れ環境の整備に関する基本方針を定め、共生環境の整備に向けての体制整備も指示。県でも、外国人労働者の拡大に関する連絡会議が設置されているが、単純な労働雇用だけではなく、共生の観点も踏まえ幅広に対応する必要がある。そこで、このような外国人労働者をめぐる時代の変化をどのように感じているのか、そして本県の対応をどのようにしていくのか。米国で派遣研修生として農場実習を体験した知事に所感等を含めて尋ねる。

  【答弁(知事)】
 外国人を安価な労働力として位置付けていくようであれば、日本は働く場として選ばれなくなる。外国人を、熊本の将来を担うパートナーと捉え、その多様性を受け入れ、共生する環境を整備していくことが、本県の発展につながる。外国人材の受け入れ増加に伴い、共生を図る取り組みが大変重要となり、特に住民サービスを担う市町村の果たす役割は大きく、市町村との連携を強化する。併せて、新たな在留資格や受入・共生に係る国の動きを注視し、関係部局連携し、共生社会の実現に近づくよう取り組んでまいる。

3.基金及び財政見通し

 【質問】自主財源が厳しい中、中期的な財政収支の試算が見直された。約100億円の庁舎建設費も加えた見直しで、蒲島知事が就任した当時の財政危機状況までには至らないというが、大丈夫か。県民サービスの低下や給与カットは避けなければならない。知事は、在任中は職員の給与カットはしないと明言され、職員もそれを励みに職務に専念しているが、見直し試算によると、熊本地震関連の県債残高のピークは平成34年とされ、そのときの判断でどうなるのかわからない。適切な財政運営はもとより、基金の積み上げと基金の運用による果実、さらには新たな自主財源づくりに着手するなどの工夫が必要ではないか。中期財政試算の結果も踏まえ、基金の確保も含めた本県の財政運営をどのように考えているのか、総務部長に尋ねる。

  【答弁(総務部長)】
本県の財政調整用4基金は、行革・財政健全化の取り組みによるもので、蒲島県政においては財政再建戦略の成果として積み上げてきた。熊本地震発災直後、基金の活用により、迅速な対応ができたと考えており、一定の蓄えは必要。今後も、将来的に必要な財源としての基金残高の確保を含めて適切な運用を図る。財政運営については、震災からの復旧・復興に取り組むため、昨年5月に中期的な財政収支を見通すための試算を行い、今回、復旧事業の進捗状況や新たな財政需要を反映して再試算した。その結果、次年度以降も現在の4基金の残高を確保しながらの財政運営は可能であり、各年度における財源不足見込みは、事業見直しや収支改善努力で対応可能な水準。今後も、予期せぬ災害や税収の変動、また、社会保障等に要する経費の増加などに備え、将来にわたり安定した財政運営に努めてまいる。

4.児童相談所

 【質問】先の東京都目黒区の事案のような虐待死を防ぐために、国では児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策が決定され、その指針等と照らし合わせ本県の対応を尋ねる。(1)児童福祉司など専門性の高い職員の確保と配置について、今後どのように考えているのか。(2)一時保護所の体制整備は、先の議会で八代に民間施設の利用も検討する旨の答弁だったが実現していない。児童虐待防止を早期に適切に処置するために、改めて体制を整えるべきと思うがいかがか。(3)児童相談所職員の資質向上のため、専門的機関への派遣研修について、再度、検討してほしい。また、市町村の担当職員を児童相談所に派遣させ、派遣費用等を国に負担させる施策要望をしてはいかがか。(4)今回の緊急総合対策により、児童相談所と警察の情報共有などの連携強化が示されたが、今後の連携について、警察はどのように考えているか。以上、健康福祉部長と警察本部長に尋ねる。

 【答弁(健康福祉部長)】 (1)現在、県児童相談所に配置の児童福祉司数は基準を満たしている。国では、児童虐待防止対策体制総合強化プランが策定予定であり、国動向を踏まえ、専門職の確保や配置等について検討してまいる。(2)県南地域の一時保護所については、関係機関と検討中だが、受入れ体制整備等に課題がある。来年度までに社会的養育推進計画を策定予定であり、その中で一時保護機能の充実について検討してまいる。(3)児童相談所及び市町村担当職員には、昨年度から研修の充実に取り組んでいる。県職員を専門機関へ派遣する研修は、専門職の配置状況等を考慮して検討してまいる。市町村職員の研修受入れは、ニーズや課題等を把握し、研修受入れや環境整備に向けた施策等について検討してまいる。

 【答弁(警察本部長)】 (4)児童相談所との連携については情報の共有に努めており、相談所と締結した協定を踏まえ、より緊密な情報共有を推進してまいる。相談所への警察官や警察OBの配置への協力、定期的な連絡会議や合同研修の実施にも取り組んでおり、今後も、児童相談所との連携を強化し、児童の安全確保と被害拡大防止を図る。

5.障がい者雇用の問題

 【質問】障害者雇用水増し問題について、本県も該当していたことは遺憾。数年かけて法定雇用率を達成するとのことたが、具体策を考えると難しい。自治労の障害労働者連絡協議会の中では、職場の階段に手すりを全てつけてもらいたい、スロープやエレベーター、身障者用トイレが設置されている勤務公署が限られている等の意見があったが、早急に実現できる職場は限られるのではないか。法定雇用率が未達成の自治体には、障がい者の勤務希望者がいないとの記事もあり、また、大手企業では法定雇用率達成のため、重度障害の方で自宅で入力作業等ができる方の情報を企業にあっせんしており、そのような障がい者は不足。ますます公務員希望の障がい者の確保が難しいと考えられ、魅力ある就労しやすい職場や職域を考えるべき。そこで、在宅就労による職員の採用や働きやすいサテライトオフィス設置による新たな雇用スタイルにより雇用率の達成を目指すことも必要。現在の働き方を見直すことにより、障害のある方にも開かれた職場が実現できるのではないか。また、介護者を必要とする障がい者は受験資格がない点も改善要望がある。法定雇用率の達成が到達点ではなく、働きやすい環境の整備が障害者雇用促進法の趣旨。この問題は公務全体の人事管理の共通事項なので、総務部長に尋ねる。

 【答弁(総務部長)】知事部局では、平成9年度から身体障がい者の試験を創設し、これまで46名を採用。また、知的障がい者などのインターンシップを平成19年度から導入し、平成21年度からは非常勤職員の任用も開始。一方、障がいのある職員の職場環境については、職員からの意見や要望を聞き、必要な機器設置や通勤等に配慮した人事異動など職務に支障がないように努めている。議員提案の新たな雇用スタイルや働き方の見直しについては、働く意欲と能力のある障がい者を多く雇用するために、これまでのやり方や発想にとらわれず、柔軟な対応が重要との指摘と受け止めた。より多くの障がい者が働くことができるよう、職場環境づくりに努める。なお、介護を必要とする身体障がい者の受験資格についても検討してまいる。

6.教員確保問題

 【質問】教員の長時間労働が深刻化し、負担軽減が課題の中、全国調査の結果、定数に対して600人の不足が報道され、本県では24人の不足。定数に満たないことは、子供に向き合う教育の体制が不備だ。速やかに一定の条件を満たす臨時職員を正規職員に採用すれば、臨時職員のモチベーションも上がり、子供たちに向き合う時間が確保され、よりよい教育ができるのではないか。また、試験合格の補欠名簿をつくり、順次繰り上げ採用するような制度に取り組めば、定数の不足は解消できるのではないか。また、49歳の教職員採用年齢制限を熊本市の59歳までに見直してはいかがか。さらに、臨時職員の希望者が少ないのは処遇が悪いからであり、本県では年度末に2日の任用空白日を設け運用しており、臨時職員に不利益を与えている。先の議会での指摘により、1日は短くなったが、まだ空白期間はある。臨時職員の処遇改善は教職員確保の重要な課題。教員不足を解消するために、その確保策について、教育長に尋ねる。

 【答弁(総務部長)】長期的な視点で定員管理計画に沿って新規採用者数を確保し、社会人経験者や他県等の現職教員など優秀で多様な人材を積極的に採用している。優秀な教員の確保に向け、若手の教員とともに出身大学を訪問し、教員の仕事の魅力を学生に直接伝えるなどの取組を行っている。教員採用選考考査の見直しや臨時的任用教員の処遇については、来年度に向け、国や全国の取組状況等を踏まえ検討してまいる。今後も、教員の魅力を発信し、優秀な教員の確保に取り組んでまいる。

7.会計年度任用職員制度 

 【質問】地方公務員の臨時・非常勤職員は年々増加し、地方行政の重要な担い手であるが、適正な任用・勤務条件が求められている。そのため、働き方改革の一環で、一般職の会計年度任用職員制度が創設され、2020年4月1日に制度移行が予定。知事部局では正規職員約4,200人に加え、約2,000人の臨時・非常勤職員のマンパワーも活用して運営されており、約85%が会計年度任用職員に移行と聞くが、さまざまな課題がある。人事担当部局は、国通知を踏まえ、各所属に対し、事務事業の廃止・縮小、業務改革の推進、会計年度任用職員として必要性の精査等を促しているが、現場では職員数を減らす余裕は少ない。費用の問題では、人件費がふえ、期末手当支給も可能となるが、財源確保が必要。国も地方財政措置を検討中だが、手当支給は各自治体の判断とされ、本県の財政状況で支給できるのか懸念。制度実施の条例改正は来年度中と聞くが、来年4月には採用業務に取りかかるべき。また、市町村の参考となるようにしなければ、不適切な採用事例が起こり得る。評価制度の導入は、各所属長が対応できるのか疑問。労使協議を含めて制度の概要を詰めて、来年4月には条例改正を行うスピード感が必要。そこで、法律の施行時期である2020年4月に向けた現在の取り組み状況について、総務部長に尋ねる。

 【答弁(教育長)】本県では、正職員を基本に、必要な業務等に対応するため、非常勤職員や臨時職員を任用。制度移行後は、その多くが会計年度任用職員として任用される。現在、正職員と会計年度任用職員が担うべき業務の仕分け、任用手続きなどの勤務条件等を検討中であり、8月には庁内説明会を開催し、現在、課題等のヒアリングを実施。今後、職員組合との意見交換を行い、年度内には制度内容を固め、来年度上半期を目途に、関係条例の改正を行う予定。現在任用の臨時・非常勤職員に対しては、丁寧に周知を図る。各市町村でも、円滑な制度移行に向けて検討が進められているが、県としても、きめ細かに支援する。職員の処遇に関する重要な制度改正なので、混乱を招くことがないよう、着実に準備を進めてまいる。

8.公文書管理

 【質問】国会で公文書をめぐる不祥事が問題となり、政府は、再発防止策として電子化をベースとした公文書管理等の方針を示している。公文書の電子化は適正な管理のイメージだが、電子化された文書からは読み取れないものがあり、紙による公文書の保存が必要。また、公文書の範囲にメモや説明資料が該当するのか議論となり、過程も含めて全てを公文書扱いにして、記録を残すことが重要。米国では60年後に全て開示され、歴史遺産として取り扱っている。学者である知事は行政文書の価値を認識されており、本県は、行政文書の管理に関し条例を制定している先進県と伺う。そこで、(1)条例制定までの経緯、(2)条例で定める本県の行政文書管理制度の特徴、(3)その上で、国において行政文書管理制度の改善が進む中、県としても今後の制度を見直していくのか、総務部に尋ねる。

 【答弁(総務部長)】 (1)「行政文書は県民共有の知的資源であり、その適正管理は民主主義の基本」という知事の考えを受け、平成21年に立ち上げた有識者による検討会の提言を受け、平成23年3月に条例を制定。(2)特徴は2点。@意思決定過程や事務事業の実績の検証ができるよう、作成すべき文書を明示し、保存期間や廃棄等の措置を定めたことで、すべての業務において一連の過程が文書として残ること。Aパブリックコメント、有識者による確認、管理委員会の意見聴取という三段階チェックを経なければ廃棄できないこと。(3)昨年度も三段階チェックを経ずに廃棄した事案が発生。今後も制度の周知を徹底し、職員の制度に対する理解を高める基準の策定など改善を図る。

9.立野ダム建設

 【質問】立野ダム建設が着工され、完成すれば一定程度の効果は見込めるが、今回の西日本豪雨の被災状況等を鑑みて、今のままの計画を推進していいのか、改めて問う。穴あきダムで自然に優しいダムとされるが、その穴が詰まることを懸念する。(1)仮に穴が塞がった場合、放流孔の詰まりを取り除くことは困難で時間と費用がかかる。想定外の穴詰まりへの対応はどのように考えているのか。(2)熊本地震では、ダム予定地の上流部で多数の斜面崩壊が発生。湛水予定地の斜面対策について、いま一度検証すべきだと思うが、いかがか。(3)先日、ダム建設促進期成会は、工事の推進を関係機関に求め、本体工事推進とともにダム周辺の景観への配慮も要望。自然景観にそぐわないダムが建設されるが、それでいいのか。(4)想定内では安全だが、想定外の穴詰まり等による河川水位の上昇が起こる危険性があることは住民に周知しておくべき。以上4点、土木部長の見解を尋ねる。

 【答弁(土木部長)】(1)放流孔が塞がらない対策として、流木等捕捉施設とスクリーンを設置。国の技術委員会では、放流孔内に流木や巨石が固定化されることはないとの結論。(2)斜面対策は、必要に応じて対策工を実施することで、斜面の安定性を確保できるとの結論。現在、対策工の必要性等を精査されており、国で必要な対策が適切に実施される。これらの結論は、各分野の第一人者からなる技術員会で専門的な審議が尽くされ、県としては新たな検証の必要性はないと考える。(3)自然景観については、国に対し、最大限の配慮を要望し、国は、専門家や県、地元町村も参加した景観検討委員会を設置し、景観形成に向けて取り組んでいる。(4)ハード対策では防ぎきれない大洪水は必ず発生するものと意識を転換する必要があり、国や市町村と連携し、総合的な治水対策を進めるとともに、防災情報の伝達等、流域住民の予防的避難につながるソフト対策も推進してまいる。

10.熊本市電と熊本電鉄の結節並びに相互乗り入れ(要望)